日本経済政策学会 第80回全国大会(於 中央大学)について
大会テーマ | これからの経済政策を考える |
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開催期間 | 2023年5月20(土)・21日(日) |
開催場所 | 中央大学 多摩キャンパス |
大会趣意書
グローバリゼーションの進展は、各国間の関連性を強める一方で、各国内においては、さまざまな考え方が対立する状況を生み出している。さらに、2020年からは、世界規模のウイルス感染により経済活動は停滞を余儀なくされ,それに対応するため、各国は経済政策を実施してきた。また、ロシアによるウクライナ侵攻により,西側諸国はロシアに対して経済制裁を実施しているが、これは、ロシアのみならず、西側諸国にも、資源価格の上昇など深刻な影響を与えることになる。このような状況において、経済活動は、これまで以上に、多様性を有する主体の間で、より密接に営まれる一方で、より不安定な下にある。経済政策も、このような状況を考慮して、より的確に立案され、実施される必要に迫られている。さらには、経済政策の原理の再検討も必要とされる状況であると考えられる。
このような問題意識の下、第80回全国大会においては、大会テーマに即した2つのサブテーマを設定する。一つ目のサブテーマは、データを使って今後の経済政策の方向を探ることである。経済政策の是非を論じる際に重要となる論点の一つに,過去の政策に対する評価が必要であるが、そのためには、因果関係の考察が不可欠である。さらに、因果関係の考察の際に、その政策を為した世界と為さざる世界を記述する因果の構築が必要となる。因果を正確に捉えることは非常に難しいが,RCT(Randomized Controlled Trial)を援用して効果的な貧困政策を検証したアビジット・バナジー教授らは、その功績が認められ、2019年のノーベル経済学賞を受賞している。しかしながら,どんなに丁寧に因果を説明したとしても,それが正確に未来を予測するとは限らないため、コンピューターサイエンスで最近使われている機械学習などが有効であると考えられている。例えば,インフルエンザの感染予測をGoogleが機械学習を用いて行ったGoogle Flu Trendが機械学習を使った未来予測として有名である。これらの手法を理解し活用する経済政策の可能性を模索することを試みたい。
二つ目のサブテーマは、歴史的転換の中で経済政策原理の変化について考えることである。一つ目のサブテーマにおける新しい手法が登場しつつある背景には、大づかみに表現すれば、従来の経済社会像の転換と,それと結びついた人間観の転換が存在していると思われる。合理的な経済主体のミクロ的分析をマクロへと集計するということでは見逃されがちだった中間レベルでの複雑な諸要因——それは一言で言えば「制度的要因」と言ってもよいかもしれない——が,われわれの経済社会の把握や政策の実効性にとって重要であるという認識が登場してきているのではないかと思われる。この見方と,非伝統的データを活用して経済社会の一部を切り取って分析する手法の展開とは,互いに強化しあっているように思われる。そして制度レベルでの分析には,従来の自由で自律的な人間観とは異なるものが要請されているかのようである。経済政策もこのような歴史的転換の中で変化しつつあることも主題化することに挑戦したいと考える。
このような第80回全国大会の企画が、日本経済政策学会が、経済政策原理(論)の新たなる展開を模索する際の一助となることを希望する次第である。
大会プログラム
報告要旨
報告論文
参加登録
・第80回全国大会(JAEP)懇親会 参加登録(5月8日正午〆切)
・大会第1日目の共通論題セッションのみ、学会員以外の方々もご参加頂けます。
第80回全国大会(JEPA)第1日目共通論題セッション 参加登録(学会員以外の方)
日本経済政策学会第80回全国大会 プログラム委員会
委員長 | 永冨 隆司(国士舘大学) |
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委員 |
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